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                                  №74 2015/11/15発行
                          発行:「同志社ファンを増やす会」
                       多田直彦:hgf02421@doshisha-u.net

 

 ・・・・・・・<「同志社ファンを増やす会」モットー>・・・・・・・

                              新島襄と同志社をもっと知ろう
                              学べば、同志社の良さが見え,
                        母校に誇りと自信が持て,フアンになる。

 

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<ボストンツアーの報告>
       新島を育てたニューイングランドでの「環境」と「人びと」

第1部 ニューイングランドので「環境」
 人が育つのは、過ごした環境と影響を与えた人々が主なものであろう。
ボストンツアーの報告は、まずは「環境」から見ていく。

(前号まで)1.ボストンという都市
      2.「ニューイングランド」について
      3.キリスト教(会衆派)
      4.キリスト教主義
      5.アメリカの高等教育機関について
6.アメリカの高等教育機関の種類

7.アーモスト・カレッジ.
7-1.新島が学んだ頃のアーモスト・カレッジ

・新島は1867年9月アーモスト・カレッジに入学し、3年間在学していました。
・アーモスト・カレッジが創立されたのは、新島が入学する46年ほど前の1821年のこと。
ピューリタンの信仰を堅持するために設立された会衆派教会と密接な関係を持つ学校です。
歴代学長(新島が入学するまでの)はすべて牧師経験者で、卒業生も40%が聖職に

就いています。
新島が在学中の学校は、宗教行事が多く、毎朝の祈祷会、毎日曜日のチャペルでの礼拝、

毎木曜日の夕方の説教などあり、会衆派教会と密接であったことがうかがえます。
その上、新島は入学後、すぐにキリスト教の伝道部に入部していました。
新島の宗教体験は、出会った人びとからだけでは無く、アーモスト・カレッジでも宗教的な

環境にあったのです。

・新島が学んだ頃のアーモスト・カレッジのカリキュラムは、ギリシャ語、ラテン語、
道徳哲学、歴史、地質学、化学、心理学、その他数学関係の科目、作文、修辞学など。
3年次以降に動物学、解剖学などが選択科目にあり、4年次になって始めて政治・経済

という社会科学系の科目が出てくる。
地質学や鉱物学がカリキュラムにあるのは、第3代目学長ヒッチコックの影響が

残っているからと言われています。なお、演説と体育は4年間通じて必須であった。
体育を重視したのはスターンズ学長で、1860年には体育館を作っている。ちなみに、

これはアメリカ最古の体育館です。
このようなカリキュラムは、リベラル・アーツ・カレッジとしての独特なものであり、
教養を幅広く学べるのが特徴でしょう。

・新島は、アーモスト・カレッジを理科系の学位B.S(Bachelor of Science)で卒業

しましたが、なぜ、人文・社会科学系の学位B.A. (Bachelor of Arts)ではないのか、

との質問がよく出ます。それは、新島はアーモスト・カレッジでB.A. (Bachelor of Arts)
に必要なギリシア語・ラテン語がその水準に達していなかったためです。
新島はフィリプスアカデミーでは、英語の勉強に時間をとられていたようでギリシャ語や

ラテン語を十分に学んでいなかったのです。ですからそれを必須とするB.Aのコースに

入れなかったのです。
しかし、新島は数学が出来、鉱石収集が好きなことからB.S(Bachelor of Science)でも

違和感がない、と言う人も居ましたが・・・。

・なお、アーモスト・カレッジは全寮制で、寮生活からの学びも新島にとって貴重な
環境であった。
しかし、夏や冬の休暇中は寮に留まることができない、というルールには自宅のない

新島は困っていました。それでハーディ夫妻宅やフリント夫妻宅、テイラー船長の

生家などで過ごさせてもらっていました。
 私はそのようなルールを初めて知り、新島がいろいろな家庭で休暇を過ごさせて

もらっていたことに合点が得られた。アメリカでのこの体験も貴重なもので、

忘れられないものになったことでしょう。

上記はつぎの本と情報誌を参考にさせていただきました。
・『新島襄 人と思想 』井上勝也著 晃洋書房
・「ぴるぐりむ」 9号 北垣宗治著 2015年7月3日

・その他、参考論文
1.『新島研究』(同志社大学同志社社史資料センター発行)にある論文として
 ・「新島先生の母校アーモスト大学を訪れて」住谷悦治 №13
 ・「アーモスト・カレッジと新島先生」今谷逸之助 №21
 ・「アーモスト・カレッジの伝統と新島先生」児玉實英 №22
 ・「アーモスト大学再訪記」井上勝也 №65
 ・「アメリカ研究としての新島研究」北垣宗治 №78
 ・「新島襄の学んだニューイングランド、フィリップスアカデミーと
   当時のカリキュラム」井上勝也 №97
 ・「新島襄とオーティス・ケリーの学んだアーモスト・カレッジ」井上勝也 №98
  - 歴代学長のプロフィール、伝統と当時のカリキュラム -
 ・「アーモストの懐かしい息子 
  -新島襄のアーモスト大学時代-」ダリア・ダリエンゾ(北垣宗治訳)№98
 ・「同志社でAmherstを「アーモスト」と表記する事になった経緯」
  『新島研究』編集委員 №105

2.「同志社談叢」にある論文
 ・「アーモスト大学のクラス・デーと新島襄の日本語演説」北垣宗治 №13
 ・「アーモスト大学の新島襄肖像画」本井康博 №23
 
3.参考図書
 ・『ニューイングランドにおける新島襄ゆかりの場所』
    井上勝也・北垣宗治共編 発行:学校法人同志社
 ・『新島襄 人と思想 』井上勝也著 晃洋書房
 ・『新島襄の世界』北垣宗治編 晃洋書房
 ・『現代語で読む新島襄』 編集委員会編 丸善
 ・『新島襄のアメリカ滞在録』阿部正敏編 大学教育出版
 ・『リベラル・アーツへの道 -アメリカ留学とその後-』
         同志社大学名誉教授麻田貞雄著 晃洋書房   以上


7-2.現在のアーモスト・カレッジ

7-2-1.現在のアマースト大学の基本情報 -その1- 
・学生数:約1,300人 ・学生 / 教員の数の比: 8/1
・男女比 男 51.24% 女 48.76%
・寮生 / 通学生の割合 寮生 約99% 通学生 約1%
・留学生の割合 13.50%
・この大学の難易度:最も難しい ・合格率:14.00%
・留学生に求められるTOEFL?スコア:600点(PBT)

<2015.9.15に訪問して>
 私たちがアーモスト・カレッジを訪問したのは、火曜日の正午前。広いキャンパスには

学生はチラホラ。学生食堂でランチを食べたが、そこで初めて学生の集団に接したのです。

学生数が1300人程度という少なさを実感できました。
 新島が入寮していた「North College」は、学舎と間違えるようなしっかりした建物で

150年も経過したとは思えないものでした。なお、3、4年生になるとアパートタイプの

寮を選択できるそうです。
 アーモスト・カレッジのキャンパスの周辺には、商店が数軒あったが、学生が遊ぶ所は

見当たりませんでした。

7-2-2.現在のアマースト大学基本情報 -その2-

アメリカの大学ランキングを掲載する雑誌は『US News and World Report』ですが、
それらの情報では、アーモスト・カレッジは、2008年度のU.S News College Rankingの
リベラル・アーツ大学部門で1位に選ばれている。したがってアーモスト・カレッジは
全米最高峰のリベラル・アーツ・カレッジと言うことになるでしょう。

教育理念は、"Terras Irradient  (Let them give light to the world)" <世を照らす光になれ>

であり、社会に貢献する人物の育成を目標としている。
これが同志社に繋がっているのでは?と思った。

アーモスト・カレッジは世界中から優秀な学生を迎え、経済的・文化的・人種的な面で
多様性を重視した教育実践を行っている。クラスの人数は約10名という徹底した少人数
教育に人気があり、入学は大変困難で2008年度の合格率は13%という。
卒業生には4人のノーベル賞受賞者を輩出している。
 ここで誤解してはいけないことは、アーモスト・カレッジの卒業生は、ほとんど別の大学の

大学院で学んでいることです。前にも述べたが、アーモスト・カレッジは大学院を持たず、

在学生の教育に力を入れているのです。

ノーベル賞受賞者が多く出るなど著名人の卒業生が多いが、その理由の一つに寄宿制の
私立高等学校からの進学者数が多く、卒業後、大学院に進学する学生が80%を超えること。
また、充実した奨学金制度があり、在学生の約6割が大学から恩恵を受けている。
その額は、一人当たり約47000ドルで、かつ奨学金は基本的に返済不要なのです。
 
 同志社大学では、アーモスト大学への留学生派遣制度として二つあり、一つは、

アーモスト大学が1954年に設立した「新島スカラー」と、もう一つは、1984年から始まった
「同志社新島スカラー」があります。「同志社新島スカラー」は学校法人同志社が、
創立100周年記念事業寄付金の一部によって運営されています。
「同志社新島スカラー」と「新島スカラー」の募集は二年ごとで、隔年毎に募集されます。
と言うことは同志社から毎年1名がアーモスト大学に派遣されることになります。
その他、1920年頃から外務省が毎年数名の新人外交官が英語研修生として派遣している。
この派遣制度や奨学金制度、そして「学生 / 教員の数の比: 8/1」という学習環境も
学校に巨額の資金が蓄積されているからであろう。
我々先輩は、母校のために一肌も二肌も脱ぐ必要がありそうだ。

主な卒業生
ヘンリー・ケンドール(ノーベル物理学賞)
エドムンド・フェルプス(ノーベル経済学賞)
ハロルド・ヴァーマス(ノーベル生理学・医学賞)
ジョセフ・E・スティグリッツ(ノーベル経済学賞)
カルビン・クーリッジ(アメリカ合衆国第30代大統領)

オーテス・ケーリ(同志社大学名誉教授)
ウイリアム・スミス・クラーク(札幌農学校初代教頭「少年よ大志を抱け」)
新島襄(同志社大学創立者)
内村鑑三(宗教家、思想家、文学者)
加瀬俊一(国連大使)
朝海和夫(EU大使)
加茂佳彦(UAE大使)
本間長世(東京大学名誉教授)
榊原胖夫(同志社大学名誉教授)
児玉実英(同志社女子大学学長)
金田弘光(カリフォルニア大学(Davis)教授)
など。                               以上

<おことわり>
前号のCollege とUniversityの学位については削除下さい。

いろいろなケースがあることが判明しました。
間違いを謹んでお詫びし、訂正いたします。■



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   「同志社ファンを増やす会」本部
 多田 直彦 hgf02421@doshisha-u.net

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