同志社東京校友会

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ビジネスパーソンのみなさんへ

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【ビジネスパーソン講演会レポート】 河本宏子東京校友会副会長 【全日空専務】


10月6日18:30より、同志社東京サテライト・キャンパスで88名が参加して、ビジネスパーソン講演会が行われました。

今回の講師は、全日本空輸(ANA) 取締役専務執行役員 河本 宏子さん〔1979年(昭和54年)文学部卒〕でした。

河本さんは東京校友会の副会長もされておられます。
題名は「一人ひとりが輝く企業へ~ANAの挑戦」です。

 

「一人ひとりが輝く企業へ~ANAの挑戦」

 

1.ANAの努力と挑戦の歴史

 

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全日空は1952年に2機のヘリコプターでの輸送会社としてスタートし、国内線の航空会社になりました。

さらに1986年から国際線に進出しましたが、後発で国際線では赤字でした。

 

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1999年にスターアライアンスに加盟してから、どんどん会社も従業員も成長してきました。

2008~9年にはリーマンショツクで2年連続赤字になったものの、皆で頑張り乗り越えました。

 

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さらに、2013年には高松空港でボーイング787から煙がでて緊急脱出をする事故が発生しましたが、

会社は即断で事故機だけではなく、すべてのボーイング787を運航停止に致しました。

安全こそが社会への責務と考えているからです。

 

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そして、現在ANAは国内線、国際線、貨物空輸プラスLCCを持ち多角化を進めています。

 

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2.私たちが大切にしていること

 

現在ANAの社員は1万5千人、グループ全体では3万3千人にもなります。

その社員全員が、大切にしたいものは何かを考えて作ったのがブックといわれる小冊子です。

 

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経営理念やANAらしさを載せていますが、一番大切にしているものは安全です。

地上勤務の事務職も含めて脱出訓練を行っております。

安全に絶対はない、人は誰でもミスをするので、どんなに小さなことでも知らせてくれと機長からお願いすることが大切であり、

客室乗務員は気づいたことがあればどんな些細なことでも報告することが大切であり、

機長は報告に対し、たとえ異常がなくても報告してくれたことに感謝することが大切であるのです。

 

次に私たちが大切にしているのは年間7万3千件のお客様の声です。

会社のブランドは足し算ではなく、掛け算です。一つガッカリさせて0の評価なら、全体が0になります。

そして、サービスはいつも同じとは限りません。

例えば、子供にはやけどするおそれがあるからスープは出さないというマニュアルがありますが、

一人旅のお子様がスープが飲みたいと泣き出してしまいました。

客室乗務員はスティックのスープに「機内ではお出しすることが出来ませんでしたので、

お子様がお帰りになったらお母様からスープを作ってあげて下さい」との手紙を添えて渡しました。

 

それからまた、私たちが大切にしているものはそれぞれがプロフェッショナルであって欲しいということです。

そのため、スキルを磨く「接遇コンテスト」をやっています。

コンテストとはいってもその目的は良いサービスを共有し、より高いANAのサービスを目指すというものです。

私たちは、この共有するということをとても大切にしていまして、仲間の仕事が良かったなぁと思った時には、

「Good jobカード」を渡すことも行っております。

お給料は誰から貰っているのか、お客様から頂いていることを忘れないために、

給与明細の中にお客様のお褒めの声も載せております。

 

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最後に私たちが大切にしているものは、「挑戦する人を応援する」ということです。こんなサービスがあったらいいね、

こんなことをやりたいと思う社員の挑戦を大切にして応援しています。

たとえば、新しいところでは「空の上の結婚式」を中部国際空港で行ったり、福島空港で働く若い2名の女性の提案から、

福島に咲く花を機体に描き全国に災害応援の感謝の気持ちを伝えたりしました。

また、東京~沖縄間の深夜の貨物空輸便にお客様を乗せる深夜フライトにも挑戦しています。

何でも、最初から無理と言わずにどうしたら実現できるかをみんなで考えて挑戦していくのです。


2012年からは客室乗務員はiPadの活用を始めています。

いままでは、マニュアル3冊を持ち2カ月に1回100ページの差し替えを行っておりましたが、

iPadに変更してからはその必要もなくなりました。

さらに、お客様の情報も紙ではなくiPadで管理できるようになりました。iPad機能活用として、

17カ国語にも対応できるようにもなりました。

変える事には勇気が要りますが、上の人が分からなければ、下の人が教えればいい。皆で教え合う学び合うことが大切です。
ヘリコプター2機からスタートした全日空ですが、このように一人ひとりがいきいきと輝いて、

努力と挑戦を続けながらお客様のためのサービスの質の向上を目指してまいります。

 

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講演会終了後は、レストランに移動して懇親会が開催され、68名が参加しました。

 

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文責/作村満明〔1977年(昭和52年)法学部卒〕
写真/新田博伸〔1977年(昭和52年)法学部卒〕

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