同志社東京校友会

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年次会活動

東京40会

平岡 燁さんの日展入選10回目作品の前に立って

 

我が40年会の会員諸氏には多芸、多才、奇才の人士が多く、

喜寿を迎えると言うのに未だ衰えを知らぬ活発な活動を続けているのは驚きである。


中でも、"日展入選10回"の画歴を誇る平岡 燁さんは、40年会は勿論、

同志社校友会でも類を見ない大画伯であり、40年会の誇りでもある。


文学部美学専攻を経て、30歳半ばにして日本画への想い捨てがたく、

日本画の大家「鈴木竹伯画伯」に師事し、以来40年の画歴を誇ると聞いている。


秋晴れの11月16日、会員有志12名が六本木に集い、

ランチもそこそこに国立新美術館で平岡さんの大作「シロツメグサの咲く野原」を鑑賞した。


川崎市扇島の公園で着想を得たそうであるが、そんな場所など関係無く、

モチーフは既に彼女の頭の中に有ったのであろう。


公園の広がりの中に豊かな感性を漂わせ、遊ばせながら丹念に描き上げた厚塗りの大作である。

その衰え知らずの意欲と技術とパワーには只々敬服するばかりである。


一般に芸術作品を鑑賞する者は画集やスナップ写真で評価しようとするのは到底無理であり、

足を運ぶことを苦にしてはならないと思う。

彼女の作品も矢張り実物に向き合わなければその真価は判らないと思う。


多種多様な絵の具の塗り重ねと削ぎ落としの繰り返しがもたらす、

圧倒的な質感と微妙な色調の変化は170センチ角の大画面にわたり

日本画独特の朦朧と幽玄の世界を表現している。

 

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画面の大部分を構成する緑の野原に、白い花の群生が点在し、

曲がりくねった一本の道は遠景へと向かっている。

遠くに見える空と山の連なりと集落が何だか懐かしい世界にいざなって呉れる。
画面を割るように縦によぎる弱々しい一本の道は、うねりながら手前に至り、

シロツメグサに覆われて判然としない。


何もかも説明的過ぎる傾向が強く、おしゃべりな西洋画に較べて、

日本画は寡黙であり、哲学的であると思う。
この道こそ、この絵が象徴する哲学的な意味を持っていると思われる。


彼女の初期の作品は比較的具象的であったが、この作品と向き合った時、

抽象画の世界にシフトしているのでは無いかと私には思えた。


この絵を鑑賞する者は、謎解きをする様に花に覆われ隠された近景を想像し、

分自身に問いかける必要が有ると思う。


我々はこの道を進もうとしているのか? 通り過ぎたこの道を振り返っているのか?
我々は何処から来たのか? 何処に向かおうとしているのか?
平岡画伯はこの絵を観る者に、優しく問いかけているのだと思う。

 

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40年会会員有志はこの作品を前にして、啓発され、様々な事を感じつつ、

論じつつ芸術の秋を楽しみました。


勿論、何時もながらのオシャベリも存分に楽しめた事は言うまでも有りません。
素晴らしい秋空の下、皆それぞれに刺激を受け、満たされた思いを胸に帰路につきました。


(文責:井角憲三)
(写真:鈴木、中段)

 

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